マリア様がみてる 4thシーズン 第12話「クリスクロス L'entrecroise」
中庭で泣いていた松平瞳子を見つけた二条乃梨子。数を数え続ける乃梨子の手に縋り付いて泣きじゃくった瞳子は、結局事情を乃梨子に話すことは無かった。
そして休みが明けて、翌週登校してきた時には瞳子は元に戻っており、宝探しイベントに参加するのかという乃梨子に対しても冷たくあしらう。
乃梨子からすれば気になって仕方ないだろう。
あれだけ泣きじゃくっていたのは祐巳に関係することだろう、というのは察しがついても何も教えてくれないし、おいそれと聞くことも出来ない。
聞けば頑なになるだろうというのが予測できるだけに、尚更のこと。
バレンタインのチョコレートを渡すため、紅薔薇様(ロサ・キネンシス)祥子の教室を訪れた紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)祐巳。
祥子は教室から人目の付かない中庭へと移動する。
わざわざ移動したのは、去年、差し出されたチョコレートを全て拒否しながら、祐巳からだけはチョコレートを受け取った祥子が、どんな顔をして受け取るのかと興味津々でクラスメイトが覗いていたからだった。
差し出されたのは昨年と同じくトリュフ・チョコレート。
去年と同じ『ビックリチョコレート』かと問いかける祥子に、祐巳は肯定してビックリチョコレート第2弾だと答える。
「びっくりするほど愛情がこもっています」
去年祐巳にチョコレートを貰って嬉しかった祥子は、今年は自分も祐巳のためにチョコレートを用意していた。
チョコレートは祥子にしか渡さないという祐巳は、瞳子とは暫くの間、距離を置くつもりでいた。何か誤解しているようだから、と事情を知らない祐巳は口にする。
「本当に勿体ない事。こんなに愛情たっぷりなのに」
祥子はトリュフを口へ運びながら、そう呟く。
甘々カップルここにあり、という感じです。
薔薇の館にやってきた祐巳は、藤堂志摩子と乃梨子の白薔薇姉妹によるチョコレートの受け渡し現場を目撃して焦る。
思わず扉を閉めた祐巳に、志摩子と乃梨子は別に見られて困るような事をしていたわけではないと気にした素振りを見せない。
だが、祐巳から見ると先ほどの二人には立ち入ることの出来ない空気が流れており、余人が立ち入ることの出来る雰囲気では無かった。そこで先ほどの自分と祥子も傍から見ると、同じように甘い空気が漂っていたのではないかと身をくねらせて悶える。
一人で百面相を続けている祐巳を呆然と見つめる志摩子と乃梨子。
「祐巳さんって」
「見てみてかなり面白いですよね」
「ええ」
結構失礼な発言ですが、的を得ているのでどうしようもない。
祐巳が志摩子たちと共に薔薇の館にやってくると、島津由乃が「遅い」と不満を漏らす。
黄薔薇様(ロサ・フェティダ)支倉令が試験で不在であり、妹(プティ・スール)もいない由乃は、祐巳や志摩子のように姉妹(スール)と仲良くチョコレートのやり取りは出来ないのだ。
校舎の階段で瞳子とすれ違った祥子は、瞳子に逃げるのかと声を掛ける。
祐巳が怖いのでしょうと指摘する祥子。
祐巳は真っ直ぐだから、鏡に映るように自分の弱い部分を突きつけられてしまう。
「それでも、一緒におられるのは何故ですか」
「決まってるでしょう。
好きだからよ」
揺るがない意志の強さを見せ付ける祥子。
自分と祐巳の事で競える相手がいれとすれば瞳子だと思っていたと祥子だが、相手がスタートラインにすらたってもらえないなら仕方ない、と言い捨てて瞳子の前から颯爽と去っていく。
祥子の言葉が瞳子の心を揺れ動かす。
そしていよいよバレンタインイベント『次期薔薇様のカードを探せ』が開催される。
次期薔薇様の姉妹である二条乃梨子は手伝いに周り不参加、支倉令は不在者投票による参加となり、祥子のみが参加となる。
更に瞳子が姿を現して、こっそりと薔薇の館から様子を伺っていた由乃たちは驚く。
スタートの合図と同時にカード探しに興じる中で、5分遅れのスタートのハンデを持つ祥子に、祐巳のファンである1年生たちが何人も張り付いていた。祥子は自分の動向を窺う祐巳ファンをお茶に誘う。
昨年は追っ手を引き離すために掛けずり回った祐巳や由乃とは大違いの対応。
各所ではカードを探す生徒たちが、右へ左と駆け回る中白薔薇カードのヒントを見付ける参加者達。
全部で7つあるというカードの情報が飛び交う中、令が試験から戻ってきていた。
既に由乃のカードが発見されているかと気にかける令は、見つからずに自分の不在者チャンスに回ってくることを期待する。が、不図視線を上げた校舎の壁に貼ってある黄色のカードを見付けてしまう。そんな令にカードが張ってある壁の直ぐ側である職員室の窓から田沼ちさとが声を掛けてきていた。
ちなみに何故こんなところに由乃がカードを隠した(?)のか、そしてこんな目立つ場所にあるのに何故見つからないのか、というのはアニメでは語られていません。
アニメ内では説明されていないルールの一つで、カードの隠し場所が今回は範囲が指定されているのですね。そしてちさとのいた職員室はカードの隠し場所の対象外となるエリア。対して外側は対象となるエリア。そのため、外側である壁は対象なんだけど、渡されている地図を一見すると対象外になるので盲点となる。
みんなを悔しがらせたいという由乃らしい思いつきからこんな場所になっているのです。
意識しない令だからこそ、簡単に見つけてしまったとも言える。
この場所にカードがあった時点で、令は不在者投票でも望みがなくなってしまっています。
薔薇の館でゆっくりとお茶を飲み続けている祥子に、彼女に張り付く1年生たちはカードを探しに行かないのか疑問に思い、既にカードの在り処に検討がついているのか、それとももう諦めてしまったのかと訊ねる。
だが、祥子はどちらでもなく、ただ祐巳がボロを出すのを待っているのだと説明し、祐巳はドキリとする。
何しろ人一倍隠し事が苦手な性格をしていますから。
瞳子の事が気に掛かる乃梨子は、志摩子に断って薔薇の館から離れる。
社会科準備室で白地図の間を探す瞳子だが、生憎と祐巳のカードを見つける事は出来なかった。そこに現れた乃梨子は、カードがここにはない事を指摘する。
祐巳と瞳子との間に、白地図に纏わる何かがあるのだろうと感じる乃梨子。
自惚れているでしょう、と自嘲気味に笑う瞳子。
「瞳子は祐巳様を侮っている」
乃梨子は瞳子の予想外の言葉を口にする。祐巳は確かに瞳子のことを好きだが、瞳子のことだけを見ている訳ではない。だからカードを隠す場所も、二人にしか判らない白地図の間などには隠さず、みんなに平等にチャンスを与えている。
「祐巳様は、瞳子が思っているよりずっと大きくて。
この部屋に入りきらないぐらいに大きくて、
だから瞳子には見えないんだ。
だから瞳子には祐巳様の心が判らないんだ」
自分の小さな部屋に閉じこもってしまっている瞳子を強く批判して、乃梨子は瞳子の前を立ち去る。
残された瞳子は、乃梨子の言葉にショックを受ける。
ここの件は原作を知らないと、ちょっと判りづらいところもあるかな。
瞳子と祐巳の白地図の件はともかく、何故乃梨子がこの部屋にやってくる事が出来たのかとか、祐巳が瞳子の事だけを考えているわけではない、というのは原作にて描かれているので、詳しく知りたい人は原作を買おう!
と、書くと不親切なので、簡単に言うと、カードを隠す場所をみんなで考えている時に、祐巳が白地図の存在を口にしてしまい、しかし思い直して誰にでも見つける事が出来る場所にしようとするのです。乃梨子はそれを知っているので、瞳子が白地図のあるここにやってくるというわけ。
とは言え、その前年には令は由乃に見つけてもらえるように、由乃が読む剣客物の本の間に挟んでいるのですで、この理論で言うと令が小さい人になってしまうなぁ、と。ま、由乃は令が読むお菓子作りとか編み物の本を探してしまい、カードをちさとたちに取られてしまったのですけど。
薔薇の館に黄色のカードを手に現れた令に、薔薇の館は突如騒然となる。
「令ちゃんのバカー!」
駆け寄った由乃がカードを確認すると、令に「バカ」を連発する。
実はそのカードは宝探し用のカードではなく、『バレンタインチョコレートリクエスト受け付けますカード』という令が由乃のために作ったカードだった。
由乃の好きなチョコレートを作ってあげるために考えたカードだが、由乃は受験生はバレンタインのことなんて考えず、受験にだけ集中していればいいと非難する。
白薔薇姉妹のもやってる事だし、よしのんからのチョコレートプレゼントのくだりもどうせなら入れてほしかったなぁ。他の生徒から令宛のチョコレートを紙袋いっぱいに預かっていて、その中にこっそりと自分のチョコを混ぜて渡そうとしていたという由乃らしいエピソードがあるんですけどね。
この状況で黄色いカードを持ってくれば、宝探しのカードだとみんなビックリすると怒る由乃に、令は「見つけたよ、カード」と事も無げに言い、室内が一気にざわつく。しかし参加者ではない自分がカードを持ってくるのは反則だからとそのままにしてきたのだ。
その本物のカードはちさとが見つけて持ってくる。
由乃ってちさとを呼ぶとき、何故か必ずフルネームなんですよね。
こうしたやり取りで、みんなが黄薔薇姉妹に注目している中、祥子だけは祐巳に注目していた。
これで2年連続で黄色カードを手に入れたのですが、実は令は去年黄色のカードを手に入れたのがちさとだと覚えていない事が随分と先で発覚します。
祥子が祐巳と一緒にいるのは「好き」だから。
祐巳は瞳子が考えているよりもずっと大きい。
祥子や乃梨子の言葉が脳裏を駆け巡った瞳子は、自分の気持ちを祐巳に素直にぶつける為、祐巳のいる薔薇の館に向かって駆け出す。
そして祥子は席を立ち上がると、ゆっくり祐巳の下に歩み寄る。
白いセーラーカラーは翻さないように、スカートの裾は乱さないように、ゆっくり歩くのが乙女の嗜み……
祥子が祐巳に声を掛けたその時、瞳子が派手に扉を開けて祐巳の名を呼ぶ。
ん~、ちゃんと「祐巳、お立ちなさい」まで言って欲しかったんですけど、これは来週に持ち越しでしょうか。蛇に睨まれた蛙のような祐巳が見てみたいんですが。
残念ながら白薔薇コードの在り処を当てる祥子とか、5分前まで動かない事にする祥子とか見る事は出来ませんでした。
あの辺は祥子の凄さが出ていて好きなんですけどね。きっと3rdシーズンまでなら、祐巳と祥子のお話だったんたけど、このシーンは描かれたんでしょうけど、4thシーズンは祐巳と瞳子の物語なので、カットされてしまった感じでしょう。
後半は若干駆け足な感じで話が進んだ印象があるかな。瞳子視点ではちゃんと描かれているけど、全体で見ると物凄いカード探しの時間が短く感じられてしまう。
次回 第13話(最終話)「あなたを探しに Les retrouv ailles」
いよいよ最終回。
偶然にもカードを見つける結果になった瞳子と祐巳のデートです。
予想通りに祐巳以外のデートは描写されません。
こちらはミラーブログになりますので、基本的にTBは本館(http://ameblo.jp/adam/)へお願いします
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