刀語 第三話「千刀・鎩」
尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督《奇策士》とがめと共に四季崎記紀が作った完成形変体刀十二本を探す旅に出た鑢七花が旅だって三ヶ月。
2人が次に向かったのは長らく幕府すら介入していない出雲国。
出雲国三途神社の敦賀迷彩の持つ「千刀・鎩」。
意気揚々と神社の千段階段を上り始めたとがめですが、早々に音を上げた。肩車もおんぶもダメなので、何故かお姫様抱っこになりました。
こっちの方が恥かしくないとか、相変わらずとがめの思考回路はどこか一本ネジが緩んでます。
敦賀迷彩とは神主が受け継ぐ名称なので、実際には妙齢の女性でした。
訳ありの1000人の女性を巫女として抱える迷彩。彼女たちが帯刀している刀が千刀・鎩という事。
千対一で戦うとかいう無茶な展開が発生するのかと思ったよ。
迷彩と一対一で話をするとがめ。
千刀・鎩は他の刀と違い、使い捨てる事を前提として打たれている刀でした。しかし使い捨ての刀なのに、一本も折れたり放置されてたりして減ってはいないのね。あくまで他の完成形変体刀十二本に比べれば落ちるというもので、通常の刀よりも出来の良い業物なんでしょうか。
迷彩は虚刀流の後継者である七花に興味を湧き、彼の虚刀流と自分の千刀流のどちらが上か知りたいと感じ、一つの条件と引き替えに刀の提示を承諾する。
迷彩の条件とは千刀・鎩の最初の一本を見つけ出し、七花と勝負する事。
七花が勝利すれば千刀・釼を手に入れ、七花が負ければこれまでに手に入れた二本の刀を差し出すという条件。
七花は自分達が二本差し出すのに、相手は一本というのが不服のようですが、正確には向こうは千本なんだよね。千本で一本分の価値という事なのでしょうが。
出来れば迷彩とは戦いたくなかったとがめ。
とがめの正体を見抜いていた迷彩。
互いに思うところがあり、本当なら争わずに理解者となりあえたのかもしれないが、お互いに自分の目的のためには引く事が出来ないのですね。
ゴロツキに絡まれた女性を助ける錆白兵の刀に見惚れるゴロツキ。
「刀は見る者ではない。斬る者でござる。
拙者にときめいてもらうでござる」
雑魚では相手にならないので、あっさりと殺されました。
刀に魅入られているとはいえ、辻斬りのように誰彼構わず斬り殺すというわけではないのね。
ときめきござるの出番は今回もこれだけ。
翌朝、刀の見聞に向かうとがめは、七花にうろちょろしないように指示する。
刀を見ようとしたとがめに、いきなり一人の黒巫女が襲いかかる。だが、迷彩が我が身を縦としてとがめを守る。
この傷が後々の戦いに響く事になる、のかと思っていたら別にそうでもありませんでした。
黒巫女の行動は単に自分達の居場所である神社を守ってくれている、迷彩を守ろうとした行動で、別に錯乱したとかではないのでしょう。
迷彩が守らなければ、とがめは素人相手でもばっさり斬り殺されていただろうな。
七花を見て怯えていた黒巫女たちだが、何も言わずに黒巫女たちの薪運びを手伝った七花に礼を言う巫女たち。
黒巫女が迷彩や巫女たち以外に従うのは初めてらしい。
七花は何故か彼女たちの持つ刀が完成形変体刀とは感じなかった。
完成形変体刀と偽って、偽物の刀を持たせているのか、本物だが特殊な事情が存在しているのか。元々捨て刀として作られているから、他の刀と違うという可能性もあったとは思いますが。
三途神社は女達の駆け込み神社であり、黒巫女たちは皆、男たちに酷い目にあわされた過去を持つ者たち。
それゆえに七花を極端に恐れていたものの、彼の様子に彼が他の男たちとは違うと感じる事が出来たのでしょう。
迷彩は刀の毒を利用して、彼女たちの心を癒している。彼女たちのためにも刀が必要であり、七花たちの持つ二本の刀があれば更に二人の女を救う事が出来る。
迷彩の話を聞いても、なんら躊躇する事なく迷彩と戦う事を受け入れる七花。
普通なら多少は同情して戦う事に迷いが生じておかしくないところですが、全く心動かされていないのは、頭では可哀想な事だと思っても、心が動いていないのか。
これまで七花が殺したのは三人。真庭蝙蝠と宇練銀閣、そして父・鑢六枝。
先代当主を殺したのは、一子相伝で先代を殺して当主の座を引き継ぐからなんでしょうか。それとも別の事情があって殺してしまったのか。なんにしろ、20年前の大乱で敵を討ち取った父親を殺したというのだから、七花の実力は相当なものという事でしょうか。その七花を「弱い」と言ってのけた七実の実力が恐ろしいですが。
7年前に山賊を抜ける時に斬った43人を忘れないという迷彩は覚悟について語るが、とがめのためだと揺るがない七花。
迷彩は精神的な揺さぶりなども得意とするのだろうが、相手が超朴念仁でこうと決めた事以外は、他がどうだろうとまったく気に止めないタイプなので効果が無かったのか。若干人間性に掛けるのは、長らくあの島で暮らしていたからなのか、虚刀流当主の特徴なのか。
2人の会話が終わった時、真庭忍軍十二頭領が一人「鎖縛の喰鮫」真庭喰鮫が神社に現れた。
喰鮫は「まにわに」という呼び方を気に入ってます。
真庭忍軍は基本的におしゃべりで変な奴が多いのね。
『忍法渦刀』を使って戦う喰鮫に、向かう七花だが、彼を追い抜いて駆ける迷彩。
何のために戦うかという事はくだらないという喰鮫を、すれ違いざまの一瞬で倒しました。
動きは七花よりも速いようだ。
その夜、とがめは最初の一本を見つけ出す。鞘の傷の具合で決めたとがめに、あっさりと了承する迷彩。
実際のところ、どれが最初の一本かなど彼女にとっては本当の意味で重要ではなかったのですね。彼女の剣術からして、どれが最初の一本だろうと対して意味を持たないわけだし。
2人の勝負がいよいよ始まる。
勝負の開始と共にいきなり刀と鞘を投げつけて走り始めた迷彩は、追いかけてきた七花に一刀一文字斬りで斬りかかる。
森の至る所に刀を縛り付けていた迷彩。使い捨てのために作られた千刀・釼でのみ使う事の出来る限定奥義『千刀巡り』です。
とがめに最初の一本を探させていたのは、この細工をするためでした。
でもとがめが探している間、黒巫女たちは帯刀していたよね。あの後の事なのか、それとも、あの時点で刀が既に別物に入れ替わっていたのかな。入れ替わっていたから、七花は違うと感じたのか?
20年前までは千刀流を信じていたという迷彩。
出雲の地を守る剣道道場の道場主であった迷彩の父だが、千刀流は二〇年前の大乱でまるで役に立たず、父と門弟は全て討ち死にした。全てを失った迷彩は、山賊に入り、盗賊の頭が千刀・を所有していた。
刀は消耗品と考える千刀流と鎩の出逢いを運命に感じた迷彩は、山賊の頭となった。
迷う暇すらなく生き続けてきた迷彩は、三途神社の当時の敦賀迷彩と出逢い、変わる事になる。
自分を救わなかった迷彩を逆恨みして、その手に掛ける迷彩。
「許してください……あなたを救えなかった事を、許してください」
自分の命が尽きようとしている時に、巫女たちは許して欲しい願った迷彩の言葉に、迷彩は山賊を切り捨て、少女たちを守る道を選んだ。
『千刀巡り』に対して、とがめのいる小屋へと向かった七花。
とがめを傷付けないため、そこには刀を配置していないと考えたからのようですが、そこへ向かうまでに攻撃できなかったのだろうか。
七花に対して、迷彩は自分が負けたら、千本の刀を少女たちに幕府まで運ばせる代わりに、彼女たちの保護を要請する。
迷彩が取り出した刀から、それが最初の一刀だと気付いた七花。
とがめの刀である七花がそうであるように、刀は真の持ち主の手に渡った時に強い力を放つのだという。
互いに奥義での決着。
「空中一刀億文字斬り」vs「鏡花水月」
鏡花水月がどんな技なのかはちゃんと描写されずじまいだ。
迷彩を殺した七花に、哀しみを覚えるとがめは「何も殺さなくても」と口に仕掛けるも、最後まで口にする事無く七花の勝利を讃える。
殺すしか無かった事、そしてそうさせたのは他ならぬ自分という事が判っている故、彼を咎める事は出来ないのですね。
巫女に迷彩との願い通り、黒巫女たちの事を引き受ける事を約束したとがめは、七花と共に三途神社を去る。
黒巫女たちはただ刀を手に入れる前に戻っただけ。迷彩が彼女たちを刀で守ろうとしたのは、彼女もまた刀に魅入られていたからという事だが、果たして何処までは真実かどうかは謎のまま。
長い階段との別れを惜しむ七花。
足を滑らせたとがめと、それを助けようとし七花の二人は階段を転がり落ちていきました。七花はともかく、とがめはあの長さを落ちたら確実に死にそうなんですが、うまく七花が守ったのだろうか。
ちょっともの悲しい話でしたが、肝心の主人公の方は終始飄々としたままでした。
今後、この七花が精神的に成長して、感情豊かになる事はあるのだろうか。
エンディングテーマ
『千本千女の刃毬唄』
歌:畑亜貴
次回 第四話「薄刀・針」
次なる相手は最強の剣士白兵。
ようやく本格的に対決だ。
次回の放送は4/28……結構間が開くな。
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