閃光のナイトレイド 第13話(最終回)「せめて、希望のかけらを」
上海に新型爆弾を投下するという高千穂勲の宣言。
三好葵は行く手を阻む井波葛に、彼がこんなやり方を望まない筈であると告げると、自分たちの下へ戻ってくるように説得する。
何ですか、この腐女子を喜ばせようとするかの台詞は。
久世と戦う鍵谷棗は能力を駆使する久世の戦いに手傷を負うも、最後は心を無にして相手の攻撃に対して瞬間瞬間に反撃する事で撃退してみせる。
しかし空を眺めていた棗は、1人の兵士の凶弾を胸に浴びてしまう。
苑樹雪菜を心配させたくないという棗は、彼女に内緒にしてくれるように頼む。
呼びかけてくる雪菜に対して、最後の力で勲と遊佐静音のいる祭壇へと続く道を教える。
棗、まさかの死亡。一番いい人なのになぁ。
名もない兵士に殺されるというのがお約束ではあるのですが、むしろ主人公格に多い死に方だよね。
勲の下へと辿り着いた雪菜たち。
彼らと下へと戻った葛はやはり上海へ新型爆弾を投下する事に賛同できない。
無人の島でもいいはずだという葛に、勲は人は近しい者に降りかからない限りは我が身の事として受け取らないのだと告げる。多くの国家が痛みを共有するには、複数の国家がが乗り込んでいる上海である必要があった。
力に頼らぬ道が何処かにあるはずだという葵の主張にも、勲はそれを探し続けた果てに導き出した結論であると受け入れない。
葵たちの望む理想は当然考えない筈もない。しかしそんな方法が簡単に見付かる筈もなく、しかし予言の時は刻一刻と迫っているからこそ、彼は強硬手段に訴える道を選択したのだろう。
神託の儀式を終えた静音は、しかしもうこれで終わりにしようと語る。
恋人であった先代預言者が自害したのは自分に神託の内容を喋らせたせいであると後悔し続けている勲。
静音を預言者という楔から解き放とうとしていた永遠は、幼い頃に静音が次の預言者である事を預言してしまっていた事を後悔し続けていた。
その贖罪から静音を逃がそうとした事で咎められ、自決する事になったと感じていた。
永遠を殺したのは自分のせいであると感じていた静音は、その恩に報いるために勲に力を貸していた。
今の勲の行おうとしている事が本当に永遠の望んだ事なのか。
勲だけではなく、静音も負い目を感じていたから、今回の一件に協力していたのか。単に勲のように未来を変えたいという想いがあったからではないのだね。
最悪な過去を見てしまった以上はそれを変えたいと望むのは当然の事であるという勲だが、雪菜はそんな彼の心の揺らぎを感じ取っていた。未だ心のそこで迷い続けている事を指摘する雪菜。
彼とて罪のない大勢を殺害するという事に迷いがないわけではないのでしょう。
だが、勲は何者かが雪菜を狙っている事に気付いて咄嗟に彼女を庇い、銃弾を浴びてしまう。
一般人が入れない部屋なので、誰なのかは直ぐに判りますね。
銃を手に現れた桜井信一郎。
勲が雪菜を庇うのを計算尽くだった。
人は良くも悪くも近しい者への情が先に立つのだと指摘する。
新型爆弾を手に入れようと考える日本軍からの指示で勲を殺害したのだ。
やはり彼は二重スパイでした。最終的に軍にとって有益な間は泳がせていたという事なのだろう。
桜井機関の任務は終了だと立ち去る桜井を追い掛けようとする葛を止めた葵は、新型爆弾を日本軍を始めとした誰にも渡してはいけないのだと爆弾の破壊を決意する。
勲の死に泣きじゃくる雪菜を静音に託すと、今度こそ待っていてくれと頼む。
桜井は何食わぬ顔で計画の変更を伝えるが、納得出来ない市ノ瀬は操縦士を銃で脅して作戦の続行を命じる。
飛び立つ飛行機へとテレポートで潜入する葵と葛は、市ノ瀬に勲の死と軍に爆弾を接収される事を告げるが、市ノ瀬はそれでも爆弾の投下を止めようとはしない。彼が見たいのは自分の研究成果が正しいという証明だけ。
ま、この男は最初から勲の理想とかそんなのには興味なくて、単に自分の研究がしたいだけという感じだったからな。
しかし核ミサイルと同じ部屋にいるとか正気とは思えません。
勲が自分に見せた光景を大勢の人々に見せようと、静音の協力を仰ぐ雪菜。
雪菜は勲のしようとしていた事の全てが間違っていた筈ではないと信じる。
「幻影は所詮幻影。それでも何かを変える力になるかもしれません」
力の全てを使って人々に幻影を見せる二人。
力の使いすぎで鼻血を出すとかその演出は必要なのか。もう少し見せ方もあっただろうに。
市ノ瀬が開いた扉から漏れた光で関東軍や所属不明の軍から攻撃を浴びる爆撃機。
市ノ瀬は攻撃の衝撃で頭を打ってそのままハッチから落下していってしまう。
葵は自分たちの力でなんとか被弾した飛行機を海へと向けて、誰の手も届かない海の底へと爆弾を落としてしまおうと考える。
海に落として爆発する事はないのだろうか……
幻影を目にした桜井は雪菜たちの下へとやってくると、新型爆弾を完成させるために静音の力が必要であると彼女を連れ去ろうとする。
桜井の発言からすると、あの新型爆弾はまだ完成系とは呼べない代物なんだな。
だがそこに現れた壱師は桜井の記憶を消してしまう。
日本人ではなく中国人であった彼は、中国を守るために監視を続けながらも、彼らに協力をしていた。
彼がずっと喋らなかったのは、彼が日本人ではないという正体を隠すためだったわけか。桜井も日本人ではない事ぐらいは知っていたのでしょうが、彼自身がスパイだという事は考えなかったのかな。
静音はそんな彼に一つの頼みを行う。
次の預言者を指名するのは預言者である静音だけ。
永遠や自分のような者を産み出さないため、静音は自らの記憶を消すように頼む。
自分の全ての記憶を消してしまった静音。果たして今後どうなったのか……
自分たちのやろうとしている事が間違っているのか。
勲の語った未来が真実で、それを変えようとした彼の行動を妨げた事で、日本がその悲劇を味わうのであれば……
悩む葵に江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』の事を語る。
葛は勲たちが見た未来は所詮屋根裏の節穴から見た狭い視野での事実にしかすぎないのではないかと考えるようになっていた。
真実はもっと色々な側面を持っていて、一つの出来事が必ずしも一つの結論というわけではないという柔軟な考えを持てるようになったようだ。
燃料が漏れてしまっていたため、燃料切れを起こしてしまった飛行機。
葵は葛に爆弾を外へと飛び出させると、自分のサイコキネシスで遙か上空へと吹き飛ばして二度と落下せぬようにしようと試みる。
「遠くへ……
遠くへ飛んで、二度とこの世界に現れるな!」
遙か彼方へと爆弾を吹き飛ばした葵。
葛は操縦士たちを連れて脱出するが、葵を乗せた飛行機はそのまま墜落する。
葛は飛行機に残った葵の姿を探し求めるが……
一発でミサイルを大気圏まで吹き飛ばすとか、凄い力です。
しかし宇宙時代が訪れたら大変な事になりそうだよね。宇宙空間にミサイルが漂ってるんだよ? 万が一にも衝突しようものなら……
2年後、愛新覚羅溥儀は満州国の皇帝に即位した。
前回の失敗を繰り返さないようにするかの如く質素に執り行われた式典。
当時の事を記憶している者は僅かだけ。
あの日の出来事を確かめるために式典を訪れた雪菜。
棗は自分の心の中に生きていると信じる。
彼女たちの前にあのまま姿を見せていない葵もまた……
葛は戻ってきたのでしょうが、その後どうしたのかは描かれてません。また軍籍についたのだろうか。
しかし今回の一件で一番の被害者は雪菜なんですね。捜しに訪れた兄は死に、同行した信頼している従者も死亡。
雪菜は偶然1人の中華飯店で成長した風蘭と再会する。
自分の店を持つようになった風蘭。
スタイルも良くなって少し美人になっているようです。
土地は日本人の者だが、この国も長くないと感じていた。風蘭はいずれ自分たち中国人の手に戻ると信じていた。
風蘭の店にはかつて葵と葛が撮影した料理の写真共に、みんなの集合写真が飾られていた。そこにはきちんと葛の姿が合成されていた。
あの写真を撮ってから事件までは時間など無かったはずであるから、この写真を合成したのは事件の後だろうという事だね。
葵は何処かに生きているのだと確信した雪菜の耳に、独特な下手くそなバイオリンの音色が届く。
だが、店を飛び出した雪菜は歩を進める関東軍を目にするだけ。
予言の通り、これから時代は暗い色に染まっていくのでしょうか。
でも、もし葵や私たちがやってきた事が僅かでも何かを変える力となるのなら……
この先にせめて……
未来に希望を抱く雪菜のモノローグで終わる。
事件は無事に解決したものの、登場人物たちにとってはハッピーエンドだったかどうかは定かではない。
せめて歩いて立ち去る葵と静音らしき人影などが出ていたらもう少しハッピーエンドだっただろうにな。
葛だけはその後が語られず。
記憶を消してしまった静音もどうなったのかが判らないままです。
そもそも雪菜が目覚めた後に静音がいたのかどうかすら佐方ではないまま。
作品そのものは良作ではあったと思うものの、今ひとつ決めてに欠けたという印象がぬぐえない。
こちらはミラーブログになりますので、基本的にTBは本館(http://ameblo.jp/adam/)へお願いします
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