〈物語〉シリーズ セカンドシーズン #26(最終回) 恋物語 第恋話「ひたぎエンド 其ノ陸」
貝木泥舟の語った阿良々木暦、戦場ヶ原ひたぎ、忍野忍が死んだ、という嘘を千石撫子はあっさりと「嘘」と見抜いた。
それは彼女が最初から貝木の事を信用していなかったからに他ならない。
心の闇どころか、誰一人として信用しない闇の心を持つ撫子の本質を見抜き切れていなかったが故の失敗。
撫子の闇の深さを読み間違えていたのか。
北白蛇神社にあふれかえる白蛇。
その中に佇む撫子の姿に、貝木は「美しい」と感じる。
この世の中は嘘ばかりだという撫子に、貝木は彼女が神になっていても誰の願いも叶える事は出来ないと断ずる。
可愛い撫子が嫌いだ、とひたぎに言われた撫子。
彼女自身もそんな自分を嫌いだが、どうしようもない。だから神様にでもなるしか無かったのだという撫子だが、貝木は彼女が神になっても何も変わってはないのだと告げる。
可愛いと言われる事は撫子にとっては苦痛だったわけだから、それ以外の者になりたかったのだろうけど、そうする手段を知らなかった。そこに神様になる、という方法が舞い込んできたから飛びついてしまったのかな。
しかしひたぎは神様に救われる事を拒み、楽になれること、幸せになれる事を拒絶した。
貝木はそのままの方が良いと思っていたが、彼女はそれらを全て否定した。
貝木は蟹にとりつかれたことはひたぎのためになると考えていたけど、本当はそうではなかったんだな。
撫子は自分との違いを認めた上で、それでも誰かのせいではあり、撫子の場合は忍野扇のせいであると語る。
初めて耳にする扇の名前。そこで貝木は初めて臥煙伊豆湖が暦を神にしようと用意したお札を手にするようにし向けた人物がいた事に気づく。
扇の事は撫子しか知らないから、さすがにバサ姉も伝えていなかったのか。
まぁ、貝木に確認していたから、関与の可能性は見抜いていたんだろうけど。
自分を騙したペナルティとして、暦たちだけではなく、他の者たちも殺そうと言いだした撫子。
神原駿河の名前を出した撫子に対し、貝木は彼女が「漫画家」になりたかったのかと指摘する。
途端、激しく取り乱した撫子。
撫子が誰にも見られないように隠していたクローゼットに隠していたもの、それは彼女が描きためたちょっとHなラブコメ漫画の数々だった。
撫子の夢は漫画家だったのか。ただそれを暦にも隠していたのは、やはり彼女が誰も信用していなかったから、その夢を誰にも話す事が出来なかったのかな。
しかし『キミとなでっこ』が撫子の描いた作品なら、十分にプロとして通用できる画力だな。かなりこっぱずかしい内容だけど、少女漫画だと普通に存在するし……
貝木にとってやはり駿河はひたぎとは違う意味でちょっと特別な存在なんだね。
貝木を殺して自分も死ぬとまで取り乱す撫子だが、貝木はいずれ撫子の両親がクローゼットを開けてしまうと指摘。
しかし今すぐ神様を止めて人間に戻れば、それを阻止できると告げる。
そんな理由で神様を止められるはずないと否定する。
あの両親が本当にクローゼットを開けると考えているのかどうかは判らないけど、一般的な考えなら親ならそうしても仕方ないからね。
漫画を見つけられるのが恥ずかしいから神様止めるとか、普通の理由では考えられないけど、そもそも成り行きでなった神様なんだから簡単に止めても大した問題ではないだろうね。。
だが撫子はそもそも神様になりたかった訳ではない。
幸せでも不幸せでもない、普通でいたかったはずだった。
自分の描いた漫画は漫画と呼べるような代物ではなく、ただの落書きでしかなく、恥ずかしかったから捨てられなかっただけだと否定する撫子。
貝木は創作とは恥ずかしいもので、夢も恥ずかしいがそれは仕方のないこと。ただ、自分自身で卑下するべきものではないと告げる。
才能があるのではないかという貝木に、なろうと思ってなれるものではないと否定するも、貝木はなろうと思わなければなることは出来ない、神様ではなく人間でなければなれないと諭す。
お金が好きだという貝木。
お金があれば何でも買えるが、掛け替えのないものでもない。
逆に掛け替えのないものが嫌いだった。
貝木の場合はそれが自分の枷となってしまうのが怖いのか。それを失う事が怖いのか。お金で買える程度のものがちょうど良いと感じてるのかな。
暦に振られたら全てが終わってしまうのか。
撫子にももっと他にやりたい事やしたい事はもっと他にあったはずで、暦以外にももっと大切なものがあったのではないかと訴える。
撫子は自分の全てを捧げるほどに暦を本当に好きだったのか、という疑問があるんだろう。
自分のことなど何も知らないはずだという撫子の言葉を肯定する貝木は、彼女の事は彼女にしか判らない。だから彼女の事は彼女しか大切に出来ず、夢も彼女にしか叶えることが出来ない。
そもそも夢なんてものは、本人以外にはどうしようもない事だからね。
自分の賽銭で本格的な画材でも買いに行けという貝木。
なりたくてなった神様ではないが、神様になった事を捨ててしまうのも勿体ないと感じる。
「でも……漫画を書いて神様って呼ばれた人もいたよね。
勿体ないって思うなら、そうなれば良いんだよね」
「ああ、おまえならそうなれるさ。
騙されたって思って、チャレンジしてみな」
「判った、騙されてあげる」
撫子だって絶対になれるという保証なんて無いのは承知の上で、それでも可能性のために敢えて騙されて人間に戻る事を選択したのか。
撫子が人間に戻ることを受け入れた直後、神社に暦が現れてしまった。
暦に対して貝木は臥煙伊豆湖に頼まれてゴーストバスターとしての仕事にやってきたのだと嘘を吐く。
『蛞蝓豆腐』という偽物の怪異を植え付けることで、彼女に世の中にぬらりくらりと生きる事を出来るようにしたのだという。
撫子の中に手を突っ込む貝木に気色ばむ暦に、貝木は「おまえに千石のために出来ることはないもない」と押しとどめると、撫で子の中からお札を取りだして人間へと戻した。
最後の最後で暦登場。間が良いのか悪いのか。まぁ、説得の最中に現れなかっただけ御の字か。しかしひたぎもこの日は貝木が来ている事を知ってるんだし、暦の足止めぐらいはしておこうよ。
撫子が嘘を見抜いた時に、人間に戻す方法も貝木の中では考えていた手段なんだろうね。もちろん相当の危険を伴う方法だったわけだけど。
周りからちやほやされ続けた撫子は当たり前の事を回りの大人から教えてもらう事が出来なかったんだろうね。
ひたぎの依頼の件を隠す貝木は、自分がこの町にいる事がひたぎにばれたら殺されるからと立ち去ることにする。
今後撫子に関わるなと暦に忠告する貝木。
自分のせいで神様となってしまった撫子を放っておけるはずがないと拒絶する暦だが、貝木はひたぎは暦の存在によって強くなったが、撫子は暦によってダメになるだけであるから、彼に出来る事は何もないと指摘する。
撫子にとって暦は毒になっても薬にもならないから、撫子には関わらない方がいいんだろうな。
ひたぎに電話で結果を報告した貝木。
2年前、本当にひたぎが貝木の事を好きだったと思っているのか、と問いかけるひたぎ。
ホテルに投げ込まれていた手紙の差出人はひたぎだった。
天の邪鬼な貝木の性格を見越した上での事だった。
伊豆湖がどこまで見抜いていたのか判らない。彼女であればね貝木の性格など周知で、ただの資金援助だったのかもしれない。
実際、何でも知ってる伊豆湖が貝木が引き下がらない事を見抜けないとも思えないしね。
忍野メメが今回の一件で見つからなかったことを疑問に感じる貝木。
その時、貝木は何者かに刺されてしまう。
犯人は貝木がこの町で騙した中学生の一人。忍野扇から貝木が町に戻っている事を知った彼は、呪い替えしを受けており、おそらくは撫子にまじないをした少年である可能性が高かった。
まぁ、呪いを掛けたのも、その返しを受けたのも自業自得でしかなく、完全にただの逆恨みなんだけどね。
貝木を尾行していたのはこの少年ではなく……
扇が尾行していたらしい。撫子を人間に戻してもらっては困ると考えていたのか。
色々と暗躍しているらしい扇に関して決着が付くのはまだ先の話なんだろうね。
貝木が主役と言える今回のお話。ラストは刺されてしまったわけだが、死んだのかどうかははっきりしないまま収束。
死んだ可能性が高そうだけど、死んだとは限らないわけで。
しかし彼の疑問通り、メメはいったいどこで何をしているのか。今後もう一度ぐらいはどこかで出てくるのかな。
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